- 7月 22, 2018
- 1月 10, 2025
高尿酸血症
暑い日が続いていますが皆さんいかがでしょうか?
今回は高尿酸血症のお話です。
汗をかき、飲水量が少ないとそれだけで血中の尿酸値が相対的に上昇します。
では、尿酸値が基準値の7.0を超えて上昇してしまう人とそうならない人では何が違うのでしょうか?
もちろん、ビールや納豆、卵、明太子、赤みの魚(マグロやカツオ)、ウニ、イクラ、シシャモのようなプリン体を多く含む飲食品を好んで摂取すると尿酸値が高くなりやすいです。
しかし、最近の知見では、プリン体を多く含む飲食品の過剰摂取は、高尿酸血症の原因の約2割に過ぎないことが分かってきています。
高尿酸血症の主たる原因は遺伝的なものです(約8割)。
腎臓の尿細管という尿を濾過するところに存在する尿酸排泄トランスポーターの働きが生まれつき元気な人では、尿酸値が上がりにくいのです。
一方で、トランスポーターの働きが生まれつき弱い人では、尿酸値が上がりやすくなります。
後者の人では、プリン体が含まれないビールを飲んでいても、アルコール刺激により尿酸値が高くなったり、仕事などのストレスや寝不足により尿酸値が高くなったりもします。
つまり高尿酸血症の患者さんは、食事療法も大切ではありますが、結局のところ内服加療が一番となります。
内服加療というと一生内服しないといけないのかと重たく感じ取られる方もおられると思います。
しかし、尿酸値が8.0を超えていればいつ痛風発作が起きてもおかしくない状態ですし、7.0〜8.0でも5年以内に痛風発作が高頻度で起きる状態と言われています。
また、一番大切なことは、持続する高尿酸血症が、腎機能を悪化させてしまうことです。
腎機能の指標である血中クレアチニン値が1.5を超えて上昇してしまうと、造影剤を使ったCTやMRI検査を受けられなくなるといった可能性があります。
万が一、がんが疑われたときに造影検査ができないということは、早期発見や確定診断が行いにくいという点において不利な状況だと思われます。
また最近、持続する高尿酸血症が全身の血管の動脈硬化を引き起こすことが分かってきています。
高血圧や狭心症、急性心筋梗塞、脳梗塞などを発症する可能性が高まります。
高尿酸血症は若い人にも多くみられますが、今後の長い人生を健康に過ごして頂きたく思います。
まだまだ書き足りないことも多いので、外来診療の際、ご質問頂けたら嬉しいです。