- 6月 8, 2019
- 1月 10, 2025
海外のC型慢性肝炎の現状
そろそろ梅雨の季節ですね。最近は暑いくらいの天候ですが、体調いかがでしょうか?
C型慢性肝炎に対する抗ウイルス薬が全て出揃い、たかだか8~12週間内服するだけで、ほぼ99%ウイルスを消失させることができる時代となりました。
日本国内ではC型肝炎ウイルス(HCV)感染率が若年層で少なく、高齢になればなるほど多い傾向にあり、この抗ウイルス薬の登場で、HCVは近い将来、根絶できると考えられています。
一方、世界全体に目を向けると、米国、そして特に、発展途上国では若年から中年にHCV感染のピークがあります。
それは、麻薬静脈注射を仲間同士で回し打ちをすることが主たる感染源となっているためです。
画期的な抗ウイルス薬が登場しましたが、新たに感染する人がとても多いため、根絶とはほど遠い印象です。
さらに、国民皆保険のある日本と異なり、海外では医療機関を受診するハードルが高いため、診断、治療へと順に進んでいける人は限られています。
2015年には、世界でHCVに感染している7,100万人のうち、診断されたのは20%(1,400万人)、治療を受けたのは診断された人のうちの7.4%(110万人)でした。
HCV感染を予防するワクチンはまだありません。
画期的な抗ウイルス薬の登場は日本国内では大きな意味をなしていますが、海外に目をむけるとやはり感染予防、つまりワクチンの開発とその普及がC型慢性肝炎の根絶につながる大切なプロセスだと思います。
画期的な抗ウイルス薬が登場し、ほぼHCVを駆除できるようになった今日、ワクチンなんて要らないと思ったこともありましたが、世界全体のHCV感染の現状を考えると、やっぱりワクチンが必要不可欠なんだと痛感しました。