- 11月 1, 2025
血圧の「下」が高いのはなぜ危険?心臓が休めないサイン。放置するリスクと今日からできる対策

こんにちは、神戸市西区のさいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。
健康診断の結果を見て、「上の血圧は正常なのに、下の数値だけが高い…」と不思議に思った経験はありませんか。「とりあえず上は大丈夫だから」と、つい後回しにしてしまいがちですが、実はその状態は、あなたの血管と心臓が「休む暇なく働き続けている」という危険なサインかもしれません。
今回は、見過ごされがちな「下の血圧(拡張期血圧)」が高いことの危険性と、その対策について解説します。
そもそも「上」と「下」の血圧とは?

心臓は、ポンプのように収縮と拡張を繰り返して全身に血液を送っています。
- 上の血圧(収縮期血圧): 心臓が「ギュッ」と収縮して、勢いよく血液を送り出した瞬間の、血管にかかる最も高い圧力です。
- 下の血圧(拡張期血圧): 心臓が「フワッ」と拡張して、血液を溜め込んでいる(休んでいる)瞬間の、血管にかかる最も低い圧力です。
つまり、下の血圧が高いということは、心臓が休んでいるはずの時でさえ、血管に常に強い圧力がかかり続けていることを意味します。
下の血圧が高いと、なぜ危険なのか?

血管をゴムホースに例えてみましょう。下の血圧が高い状態は、常にホースがパンパンに張っているようなものです。この状態が続くと、血管はしなやかさを失い、硬く、もろくなっていきます。これが「動脈硬化」です。
動脈硬化が進行すると、血管の内側が傷つき、そこにコレステロールなどが溜まって血管が狭くなります。その結果、血栓(血の塊)が詰まりやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞といった、命に関わる病気を引き起こすリスクが飛躍的に高まるのです。
実際に、下の血圧が10mmHg上昇するごとに、脳卒中のリスクは約1.8倍、心筋梗塞のリスクは約1.5倍に増加するという報告もあります。
下の血圧が高くなる主な原因

下の血圧が高くなる原因は一つではありませんが、主に以下のような生活習慣が関わっています。
- 塩分の摂りすぎ: 体内の塩分濃度が高まると、それを薄めるために血液中の水分量が増え、血管への圧力が高まります。
- 肥満: 体重が増えると、全身に血液を送るためにより強い力が必要になり、心臓と血管に負担がかかります。
- ストレス: 精神的な緊張状態が続くと、血管が収縮し、血圧が上がりやすくなります。
- 運動不足: 運動不足は肥満に繋がりやすく、血行も悪化させます。
- その他: 喫煙、過度な飲酒、遺伝的な要因なども関係します。
今日からできる、下の血圧を下げるための対策

下の血圧は、日々の生活習慣を見直すことで改善が期待できます。
1.減塩を心がける
まずは食事の塩分を減らすことが最も重要です。高血圧の方は1日6g未満を目標にしましょう。ラーメンの汁は残す、漬物や加工食品を控える、香辛料や酸味を上手に使うなどの工夫が有効です。
2.カリウムを積極的に摂る
野菜や果物に多く含まれるカリウムには、体内の余分な塩分を尿として排出するのを助ける働きがあります。ほうれん草、バナナ、アボカドなどを意識して摂りましょう。
3.適度な有酸素運動
ウォーキングや軽いジョギングなど、少し汗ばむくらいの運動を1日30分、週に3日程度続けるのが理想です。運動は血管をしなやかにし、血圧を安定させます。
4.適正体重を維持する
肥満気味の方は、減量するだけでも血圧は下がる傾向にあります。1kgの減量が、下の血圧を約0.5mmHg下げるとも言われています。
5.ストレス管理と十分な睡眠
趣味の時間を作る、ゆっくり入浴するなど、心身をリラックスさせる時間を大切にしましょう。十分な睡眠も血圧の安定には不可欠です。
自己判断せず、まずはご相談ください

下の血圧が高い状態は、自覚症状がないまま静かに進行するサイレントキラーです。「まだ大丈夫」と自己判断せず、健康診断で異常な数値を指摘されたら、まずは一度ご相談ください。
当院では、お一人おひとりの生活習慣を丁寧にお伺いし、食事や運動のアドバイスから、必要に応じたお薬の処方まで、最適な治療計画を一緒に考えさせていただきます。未来の健康を守るため、まずはご自身の体の状態を正確に知ることから始めましょう。
- 院長
- 斉藤 雅也
- 診療内容
- 内科・消化器科
- 住所
- 〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3(駐車場18台あり)
(旧:森岡内科医院) - 電話
- 078-967-0019
- 携帯
- 080-7097-5109
- 電車
- JR山陽本線「魚住駅」から車で約9分
JR山陽本線「大久保駅」から神姫バス天郷停留所(約11分)下車、徒歩5分 - 車
- 第二神明道路大久保インターから約1分
- 駐車場
- 駐車場18台完備!
