• 12月 18, 2025

そのおならの臭いと張り、放置していませんか?「腸内腐敗」が引き起こす悪臭の原因と、脂肪肝・IBSのサイン

最近、「お腹が張ってガスが溜まりやすい」「おならの回数が増えた」「臭いが強くて困っている」といったお悩みをよく耳にします。おならは体にとって自然な生理現象ですが、その臭いや頻度の変化は、皆様の健康状態を映し出すバロメーターです。

特に、おならの悪臭や慢性の膨満感の裏には、生活習慣の乱れだけでなく、過敏性腸症候群(IBS)や慢性胃炎、さらには当院でも専門としている脂肪肝といった消化器系の疾患が隠れている可能性があります。

今回は、なぜおならの臭いが強くなるのか、そして健康的な腸内環境を取り戻すための具体的な対策を、消化器病専門医の視点からお伝えします。


1.おならの悪臭は「腸内腐敗」のサイン

おならの成分の99%以上は、食事の際に飲み込んだ空気や腸内細菌が生成する窒素、酸素、二酸化炭素などで、これらは基本的に無臭です。

しかし、残りの1%未満に含まれる特殊なガスが、強烈な悪臭の原因となります。

悪臭の正体:悪玉菌が作る腐敗ガス

おならが臭くなる主な原因は、腸内の悪玉菌が過剰に増殖し、食べ物を分解する際に腐敗物質を多く作り出すことです。

  • アンモニアや硫化水素: 悪玉菌は、特に動物性タンパク質を分解する際に、硫化水素(卵の腐ったような臭い)やアンモニア、インドール、スカトール(大便臭)といった強い臭いのガスを発生させます。
  • 食事の影響: 肉類などの動物性タンパク質や脂肪分を過剰に摂取すると、悪玉菌の増殖が促進され、おならが臭くなりやすくなります。また、ニンニク、ニラ、ネギなどの硫黄化合物が多い食品も、硫化水素の産生を増やし、臭いを強める要因となります。

2.おならの回数の増加とお腹の張りの原因

おならの頻度が増え、お腹が張る症状(膨満感)の原因は、主に以下の2つです。

A. 飲み込みすぎた空気(空気嚥下)

早食いをしたり、ガムを噛んだり、喫煙したりすると、大量の空気を一緒に飲み込んでしまう空気嚥下(エアロファジー)が起こり、これがガスの回数を増やす大きな原因になります。空気嚥下症は、精神的ストレスと関連していることもよくあります。

B. 消化不良と腸の過敏さ

特定の炭水化物(FODMAPや乳糖)が胃腸の酵素によって完全に消化されず、大腸に到達すると、細菌によって分解される際にガスが生成されます。

  • 過敏性腸症候群(IBS): 腸に器質的な異常がないにもかかわらず、腹痛や腹部膨満感、下痢や便秘といった症状が慢性的に現れる症候群です。IBSの患者さんの多くは、腸からのメッセージを伝える神経が過剰に活動しており、通常のガス量に対しても敏感に反応し、痛みや膨満感を感じます。
    • 当院でもIBSの患者さんの診療を積極的に行っていますが、治療薬であるポリフルの製造一時中止に関する情報提供も行っています。
  • 慢性胃炎: ピロリ菌感染による慢性胃炎は胃の機能を低下させ、消化不良やおならの増加、膨満感の原因となることがあります。ピロリ菌自体もアンモニアを産生し、おならの臭いに影響を与えます。
  • 脂肪肝: 肝機能が低下すると、消化に必要な成分の分泌が悪化し、消化不良が起こりやすくなります。これにより、腸内で異常発酵が起こり、悪玉菌が増殖し、おならの量が増え、臭いが悪化することがあります。

3. 臭いと張りを改善するための具体的な対策

おならの悩みを改善し、健康的な腸内環境を取り戻すためには、生活習慣病(肝疾患、生活習慣病、消化器・内視鏡など)を専門とする当院が推奨する以下の対策を日常に取り入れましょう。

対策の柱具体的な方法と根拠
腸内フローラの改善善玉菌を増やすことが、悪玉菌が作る腐敗産物(アンモニアなど)を減らし、臭い軽減に直結します。プロバイオティクス(ヨーグルト、納豆)とプレバイオティクス(食物繊維、オリゴ糖)を組み合わせたシンバイオティクスの摂取が効果的です。
食事内容の調整動物性タンパク質の過剰摂取を避け、代わりに植物性タンパク質や魚などを選びましょう。水溶性食物繊維(ごぼう、モロヘイヤ、ライ麦パンなど)は、腸内環境を整え、便中の腐敗産物を減少させるという効果が報告されています。
食べ方の工夫早食いを避け、しっかり噛んでゆっくり食べる習慣をつけましょう。これにより、空気を飲み込む量(空気嚥下)が減り、ガスの回数を減らすことができます。
自律神経と運動ストレスや睡眠不足は自律神経を乱し、腸の動きを鈍らせます。ウォーキングやストレッチなどの適度な運動は、副交感神経を優位にし、腸の動きを活性化させます。
便秘の解消便秘はガスを腸内に滞留させ、悪臭の原因となるため、十分な水分摂取(特に寒い時期に水分摂取を控えがちになるため注意が必要です)と食物繊維の摂取で便通を改善しましょう。

3.改善しない場合は「消化器内科」を受診してください

食事や生活習慣を改善しても、おならの悪臭や腹部の張りが続く場合、あるいは腹痛、下痢、便秘といった他の消化器症状を伴う場合は、病気が原因である可能性があります。

  • 大腸がん:がんの進行により大腸が狭くなると、頑固な便秘や悪臭ガスが生じることがあります。
  • 慢性胃炎、IBS、脂肪肝:これらの疾患は、消化吸収や腸内環境に直接影響を与えます。

当院は内科・消化器内科を診療内容としており、肝臓疾患を専門として診療をさせて頂いています。胃カメラや腹部エコー検査を通じて、症状の根本的な原因(胃の炎症、腸内環境の異常、脂肪肝など)を特定し、適切な治療と生活習慣の指導をご提案します。

長引くおなかの不調でお困りの方は、ぜひご相談ください。

医療法人社団好也会 さいとう内科クリニック
医療法人社団好也会 さいとう内科クリニック 外観
院長
斉藤 雅也
診療内容
内科・消化器科
住所
〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3(駐車場18台あり)
(旧:森岡内科医院)
電話
078-967-0019
携帯
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電車
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