- 12月 26, 2025
毎日の「うんち」は体からの通知表!色と形状でわかるあなたの消化器サインと危険な警告

皆様はご自身の「うんち」を毎日観察されているでしょうか?
「汚いもの」「食べカスの残り」と思われがちですが、実は便は、消化器の健康状態、腸内細菌のバランス、そして全身の調子を映し出す、最も身近なバロメーターです。
健康な人のうんちは、約80%が水分でできており、残りの固体成分の3分の1は生きた腸内細菌、3分の1が食べカス、そして残りの3分の1が剥がれた腸粘膜で構成されています。つまり、うんちの状態をチェックすることは、「腸内細菌バランス」をチェックすることに直結するのです。
今回は、便の色と形状から読み取れる、体からのメッセージと、特に注意が必要なサインについて、消化器病専門医の立場からお伝えします。
1.理想の便は「バナナうんち」

健康な人の便は、排便がスムーズに行える黄褐色の便で、形状はバナナ状あるいは半練り状をしていることが特徴です。この「バナナうんち」は、善玉菌が優位で健康な状態を示しています。
| 理想的な「バナナうんち」の条件 |
| 色: 黄褐色(黄土色~薄い茶色)。 |
| 形状: バナナ状、あるいは半練り状で、表面が滑らかである。 |
| 排便: いきまずにスムーズに3分以内に排便でき、残便感を伴わない。 |
| 臭い: それほどきつくない。 |
2. 便の形状(性状)からわかる体のSOS
便の形状は、腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)の状態や、水分量の異常を反映します。
| 形状のサイン | 状態・疑われる原因 |
| ガチガチ・兎糞状の便(コロコロ) | 水分量が少なく硬い(水分60%程度)。強くいきむ必要があり、悪臭を伴うことが多い。けいれん性便秘(大腸が痙攣)や悪玉菌の優位が考えられます。 |
| 太くて硬い便 | 排便時に便柱が太くて硬い。大腸の運動が低下している弛緩性便秘が疑われます。 |
| ヒョロヒョロ便 | 水分85%程度で柔らかい。悪玉菌が優勢で、臭いがきつい傾向があります。 |
| 泥状・水様性(下痢) | 便に多くの水分が含まれている状態(水分90%以上は水様性)。 |
| ピシャピシャ/ガチピシャ | 水様性の下痢(ピシャピシャ)や、便秘と下痢が交互に起こる(ガチピシャ)場合、ストレスによる過敏性腸症候群(IBS)になっている可能性があります。 |
| 粘液・血液・膿が混入した水様便 | 細菌などによる感染性腸炎や炎症性腸疾患などが強く疑われます。 |
3.【最も注意】危険な「色」の警告サイン
便が特殊な色をしている場合、消化管、肝臓、胆管といった重要な臓器で異常が起きている可能性があります。
黒色便(タール便)

コールタールに似た黒い便は、上部消化管(胃、十二指腸、食道)からの出血が強く疑われます。
- 原因: 出血が肛門から遠い位置で起こり、消化管を通る間に血液が黒く変色するため「タール便」と呼ばれます。
- 考えられる病気: 胃・十二指腸潰瘍、胃・十二指腸がん、食道がん、逆流性食道炎などが考えられます。
- 出血量: 50〜75mL以上の出血で便を黒色にします。
- 注意: 鉄剤やビスマス製剤(下剤)、薬用炭、イカ墨料理の摂取によっても黒色になることがあります。
赤色便(鮮血便)

鮮やかな赤色の便は、大腸から肛門にかけての下部消化管からの出血が疑われます。
- 原因: 肛門に近い箇所での出血ほど、新鮮血を呈します。
- 考えられる病気: 切れ痔やいぼ痔(新鮮血)のほか、潰瘍性大腸炎、大腸憩室炎、大腸がんなどが考えられます。便の周囲に血液が付着している場合は直腸や肛門からの出血が考えられます。
- 特徴的なサイン: 赤黒いゼリー状の便は、特に腸重積の疑いがあります。
白色便(白色~レモン色)

灰白色やレモン色の便は、肝臓や胆管の異常が考えられます。
- 原因: 通常、便が黄褐色になるのは、胆汁に含まれるビリルビンという色素によるものです。肝臓や胆管に異常が発生し、胆汁が適切に生成または排出されなくなると、便の色が白っぽくなります。
- 考えられる病気: 胆石症、肝炎、胆のうがん、胆管がん、膵臓がんなどが考えられます。また、ロタウイルス感染による胃腸炎の場合にも見られることがあります。
4. 食事や体調による一般的な色の変化
| 便の色 | 主な原因 | 関連する食習慣・体調 |
| 濃褐色 | 肉類の過剰摂取、便秘(便の水分量が減るため)。 | 肉食が多いと悪玉菌による腐敗臭が強くなります。ココアやチョコレートの大量摂取も原因です。 |
| 茶褐色 | 食べ過ぎ、飲み過ぎなど、食習慣の乱れ。 | 短期間で改善が見込まれます。 |
| 黄色 | 激しい下痢症状。牛乳などの乳製品の過剰摂取。 | 下剤の服用(ダイオウ末、センナなど)によっても見られます。 |
| 緑色 | 緑黄色野菜の過剰摂取(クロロフィル)。 | 急性腸炎や消化機能の低下の可能性もあります。 |
5. こんな症状が続く場合は、早めの受診を

便は体の調子を判断する身近なツールですが、便の色が異常な場合や、排便リズムの異常が続く場合は、単なる生活習慣の乱れではない可能性が高いです。
- 受診目安の排便回数: 1日3回以上の頻繁な下痢、または1週間に3回以下の便秘が続く場合。
- 強い悪臭: 膵疾患や直腸がんの場合、特に強いにおいを発することがあります。
- 便に異常な混入物: 水様性の便に血液や粘液、膿などが混入している場合。
- 異常な色: 黒色便、赤色便、白色便が見られた場合は、特に速やかにご相談ください。
当院は、消化器病専門医として、便の異常から疑われる肝臓、胃腸、胆管の疾患(脂肪肝、IBS、慢性胃炎、潰瘍性大腸炎、各種がんなど)の早期発見・治療に努めております。胃カメラや腹部エコー検査など、適切な検査を通じて体のSOSを正確に把握しましょう。
- 院長
- 斉藤 雅也
- 診療内容
- 内科・消化器科
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