• 9月 29, 2025
  • 10月 6, 2025

【医師監修】健康診断で血糖値が高いと指摘された方へ。

「沈黙の病」糖尿病を放置してはいけない理由

ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
さいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。

「血糖値が高めですね」
「糖尿病の気があります」

健康診断でそう指摘されても、特にこれといった症状がないため、「まだ大丈夫だろう」とそのままにしていませんか?

実は、治療を受けている糖尿病患者さんは全体の約半数とも言われています。その理由は、まさにこの「自覚症状のなさ」にあります。

しかし、それは非常に危険なサインです。自覚症状がないまま、体の中では血管が静かに傷つけられ、気づいたときには心筋梗塞や脳梗塞といった、命に関わる事態を引き起こす可能性があるのです。
症状が出てからでは、治療が困難になるケースも少なくありません。また、血糖値が正常の方と比べると、血糖値が持続的に高い方では、がんに罹患しやすくなります。さらに、すでにがんを罹患された方は、血糖値が高値で持続すると、がんの再発リスクが格段に上昇することが知られています。
今回は、糖尿病の本当の怖さと、健やかな毎日を守るための正しい知識についてお伝えします。


そもそも糖尿病とは?「血糖値が高い=体がガス欠状態」です

糖尿病とは、すい臓から分泌される「インスリン」というホルモンの働きが悪くなることで、血液中のブドウ糖(血糖)が細胞にうまく取り込まれず、慢性的に血糖値が高い状態が続く病気です。

ここで重要なのは、「血液中に糖が溢れている」のに、「体の細胞はエネルギー不足でガス欠を起こしている」という点です。これが、糖尿病の症状として現れる「だるさ」や「倦怠感」の正体です。

日本人の9割以上を占める「2型糖尿病」

糖尿病には、自己免疫などが原因で突然発症する「1型糖尿病」などいくつかのタイプがありますが、日本人の9割以上は、遺伝的な体質に肥満・食生活の乱れ・運動不足といった生活習慣が加わって発症する「2型糖尿病」です。

糖尿病管理の鍵は「HbA1c」。過去1ヶ月の成績表です

「今日の血糖値は正常だったから大丈夫」とは限りません。血糖値は食事などで常に変動する「その日の点数」です。

そこで重要になるのがHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)という数値です。これは、過去約1ヶ月間の血糖値の平均を反映する、いわば「1ヶ月間の通信簿」のようなもの。このHbA1cを見れば、ごまかしのきかない普段の状態が一目で分かります。

合併症を防ぐための大切な目標は、HbA1cを6.5%未満に保つことです。


本当の怖さは「合併症」。体を蝕む静かなる脅威

糖尿病治療の最大の目的は、高血糖によって引き起こされる深刻な合併症を防ぐことです。

細い血管がやられる「三大合併症(しめじ)」

  • 神経障害(手足のしびれ、痛み、感覚が鈍くなる)
  • 網膜症(目のかすみ、視力低下。成人後の失明原因の上位で、日本では毎年約3,000人が失明しています)
  • 腎症(腎機能が低下し、人工透析が必要になる原因の第1位です)

太い血管がやられる「動脈硬化」

高血糖は、高血圧や脂質異常症と並んで動脈硬化を強力に促進します。これにより、心筋梗塞や脳梗塞といった、命に関わる病気のリスクが飛躍的に高まります。

特に注意したいのは、「糖尿病予備軍」の段階から、すでに動脈硬化は始まっているという事実です。

高血糖はがんの餌になりうる

もし、体内に前がん病変が存在していると、そこに栄養のエキスのような高血糖が前がん病変に注ぎ込まれ、発がんしやすくなります。また、がんの治療中の方は、高血糖状態が続くと、その治療効果が得られにくくなったり、治ったと思われたがんの再発が起こりやすくなったりします。動脈硬化だけではなく、発がんにも強く関与しているのです。


治療の基本は「生活習慣の見直し」から

残念ながら「これさえ飲めばOK」という魔法の薬はありません。糖尿病治療の土台は、あくまで食事療法と運動療法です。それでもダメなら内服や注射による治療が望まれます。

しかし、「食事は、あれもダメ、これもダメ」という厳しいものではありません。糖尿病の食事は、実は「万人のための健康長寿食」。ご家族の健康にもつながる理想的な食事です。

深刻な事態になる前に当院へご相談ください

糖尿病は、症状がないからこそ、つい後回しにされがちな病気です。しかし、体の中では静かに変化が進行しています。手遅れになる前に、早期に発見し、対策を始めることが何よりも重要です。

健康診断で血糖値を指摘された方、ご自身の症状に心当たりがある方は、どうか一人で悩まず、お気軽に当院までご相談ください。

当院では、糖尿病に対する食事療法、運動療法のみならず、最新の内服、注射による治療をご提供させていただいております。動脈硬化が進まないように、がんを予防できるように、そして、未来の健康を守るための第一歩を踏み出せるように、私たちが全力でサポートします。

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