【医師監修】右脇腹の痛み、それ胆のう炎かも？胆石との関係と治療法を解説

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
神戸市西区のさいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。

「みぞおちから右のわき腹にかけて、急に激しい痛みが…」

そんな経験はありませんか？もしかしたら、それは「急性胆のう炎」のサインかもしれません。今回は、急性胆のう炎とはどのような病気で、その主な原因である「胆石」とどう付き合っていけばよいのか、そして最新の治療法についてお伝えします。

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そもそも、胆のう・胆石とは？

胆のうは、肝臓の下にある袋状の臓器です。肝臓で作られた消化液「胆汁（たんじゅう）」を一時的に溜めて濃縮し、私たちが脂肪分の多い食事を摂ったときに、収縮して胆汁を十二指腸に送り出し、消化を助ける働きをしています。

胆石とは、この胆のうの中で胆汁の成分が固まってできた石のことです。

胆石がある人、全員が胆のう炎になるわけではない

実は、日本人の約10人に1人は胆石を持っていると言われるほど、胆石はありふれたものです。しかし、その中で実際に痛みなどの症状が出るのは、年間1〜3%程度とされています。

つまり、胆石があるからといって、必ずしもすぐに胆のう炎になるわけではありませんので、過度に心配する必要はありません。

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「胆石発作」と「胆のう炎」の大きな違い

胆石が原因で起こる腹痛には、大きく分けて2つの状態があります。

胆石発作

胆石が胆のうの出口に一時的に詰まることで起こる、一過性の痛みです。しばらくすると石の詰まりが解消され、痛みも自然に収まります。

急性胆のう炎

胆石が完全に詰まってしまい、溜まった胆汁に細菌が感染するなどして、胆のう自体が炎症を起こし、腫れ上がってしまった状態です。この場合、痛みは持続し、発熱を伴うことも多くなります。

「痛みがしばらく続いている」「熱も出てきた」という場合は、胆石発作ではなく、治療が必要な「急性胆のう炎」の可能性が高いため、すぐに医療機関を受診してください。

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急性胆のう炎の症状と原因

主な症状

• みぞおちから右のわき腹（右季肋部）にかけての持続する強い痛み
• 発熱
• 吐き気、嘔吐

主な原因

• 約9割が胆石によるもの：胆石が胆のうの出口を塞ぐことが原因です。
• 胆石がない場合（無石胆のう炎）：稀ですが、胆のうの血流が悪くなったり、細菌感染が起きたりして発症することもあります。

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診断と治療について

急性胆のう炎が疑われる場合、血液検査で炎症の程度を確認し、腹部エコー（超音波）検査で胆のうの腫れや胆石の有無を直接観察して診断します。

治療の基本

• 初期治療：まずは入院の上で、絶食（胆のうを休ませるため）、輸液（点滴）、抗菌薬の投与で炎症を鎮めます。また、腹部エコーを用いて、お腹の外から肝臓を経由して胆のうに針を刺して、胆のう内に溜まっている感染胆汁を抜いてきれいにする「ドレナージ」という処置を行うこともあります。
• 根本治療：炎症の原因となっている胆のうを摘出する手術（胆のう摘出術）が標準的な治療です。多くの場合、お腹に小さな穴を開けて行う腹腔鏡手術が行われており、体への負担も少なくて済みます。手術は、急性胆のう炎が落ち着いてから最低3カ月は間隔を空けてから行われることが多いです。

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よくあるご質問

Q. 手術せずに治った場合、再発しますか？

A. はい、その可能性があります。一度、急性胆のう炎を起こした方が手術をしなかった場合、約3割が再発すると報告されています。炎症を繰り返すと、癒着などが原因で手術が難しくなることもあるため、医師とよく相談することが大切です。

Q. 胆のう炎と胆のうがんの関係はありますか？

A. 稀ですが、急性胆のう炎の約1%に、胆のうがんが合併していることがあると言われています。その意味でも、専門医による正確な診断は非常に重要です。

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適切な治療で治る病気です

急性胆のう炎は、突然の激しい痛みと発熱を伴う、つらい病気です。しかし、適切なタイミングで正しい治療を行えば、死亡率は1%未満と、ほとんどの場合が安全に治癒します。

放置すると、胆のうが破れて腹膜炎を起こすなど、命に関わる事態になることもあります。右のお腹の痛みが続く、熱が出てきた、といった症状があれば、我慢せずに、お早めにさいとう内科クリニックへご相談ください。