【重要なお知らせ】過敏性腸症候群治療薬「ポリフル」の供給状況について（限定出荷から出荷停止へ）

いつもさいとう内科クリニックのブログをご覧いただきありがとうございます。

過敏性腸症候群（IBS）の治療薬として多くの患者様にご利用いただいております「ポリフル」の供給に関して、製造販売元であるヴィアトリス製薬合同会社より、非常に重要で残念なお知らせがございました。

これまで、当院では2025年7月24日に「【お知らせ】過敏性腸症候群のお薬「ポリフル」の製造一時中止について（https://saito-naika-cl.com/blog/post-659/）」という記事を公開し、また、7月30日には「過敏性腸症候群の治療薬「ポリフル」出荷再開の見通しがたちました！（https://saito-naika-cl.com/blog/post-676/）」と、8月末から9月初めの出荷再開予定をお知らせいたしました。

しかしながら、この度、限定出荷を継続していた一部製品についても、現有在庫がなくなり次第、出荷停止となることがメーカーから正式に通知されました（2025年10月）。

皆様には多大なるご迷惑とご心配をおかけしますことを、心より深くお詫び申し上げます。

1. 新たな出荷停止の対象製品

今回、現有在庫の消尽後に出荷停止となるのは、以下の製品・包装です。

なお、「C. 出荷停止」とは市場に出荷されていない状況を指します。また、以前から供給停止が継続されている「ポリフル錠500mg 1,000錠(PTP)」および「ポリフル 細粒83.3% 600g (瓶)」についても、引き続き供給停止が継続されます。

2. 出荷停止の背景と経緯

ポリフルは過敏性腸症候群（IBS）の治療薬であり、特に便秘と下痢を繰り返す「混合型」のIBSに効果を発揮するお薬として知られています。

供給問題の経緯

1. 初期の出荷停止: 本製品は、製造委託先工場での事象により、2025年6月19日より一旦出荷停止となっていました。
2. 限定出荷の再開: 改善の目途が立ち、ポリフル錠500mg 100錠 (PTP) は2025年8月26日より、ポリフル細粒（0.6gおよび1.2gの105包）は2025年9月11日より、限定出荷にて供給が再開されていました。
3. 再度の出荷停止（今回）: しかし、限定出荷を継続する中で、出荷量がご要望に沿えず、継続的な安定供給が難しい状況となったため、十分な在庫量を確保できるまでの間、再度出荷停止を実施せざるを得ないと判断されました。

製造遅延の具体的な理由

今回の限定出荷から供給停止に至った主な原因は、製造委託先工場における大幅な入荷遅延です。その背景には、製造プロセスの改善に伴う複数の要因があります。

• 製法変更に伴う対応の遅れ: 予め計画されていた新規プロセス改善後の製造では、製法変更により「バリデーション」（製品が恒常的に規格と品質に合致することを高度に保証し文書化すること）や、品質への影響を厳密に評価する「変更管理」が必要となりました。
• 人員と工数の課題: 新しい手順に習熟した「認定作業者」の不足により、計画に遅延が生じています。また、新しい製法では旧製法に比べて使用する機器の小型化などの影響で、工数が大幅に増加している状況です。

3. 患者様への影響と当院の対応

ポリフルと同じ成分を持つ「コロネル」が2024年1月に製造中止になった経緯もあり、ポリフルの供給停止は、特に混合型IBSの患者様にとって大きな不安要素となります。

現在、ポリフルの代替薬として保険適用されている同成分の薬は国内には存在しません。

当面の間、ポリフルの出荷再開（今後の製造予定等が判明し、出荷状況に変更がある場合には速やかにご案内されます）までは、恐縮ながらトリメブチンや他の過敏性腸症候群治療薬を用いて症状をコントロールしていただくことになります。

当院では、患者様一人ひとりの症状を丁寧に診断し直し、腹部超音波検査なども含めて、最適な代替治療法を全力でサポートさせていただきます。お腹の症状が悪化する不安を抱えている方や、これまでの治療で症状が改善しなかった方も、どうぞご相談ください。私たちは、患者様が安心して日常生活を送れるよう、最善を尽くしてまいります。