- 11月 13, 2025
「風が吹かなくてもいてーよ!」タレント古坂大魔王さんも経験した、痛風発作の激痛と本当に怖い合併症

こんにちは、神戸市西区のさいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。
先日、お笑いタレントの古坂大魔王さん(52歳)が初めて経験したという痛風の激痛について、SNSでその壮絶な体験を語られ、大きな話題となりました。
古坂さんは、「全く歩けない」「足の親指に蠍(サソリ)がいて、定期的に刺してくるような痛み」と表現され、さらには「風が吹いても痛い…とかよ!?違うよ!風が吹かなくてもいてーよ!痛無風だよ!」と、痛風発作の強烈な痛みを表現されています。
今回は、この他人事ではない激痛のメカニズムから、健康診断で「尿酸値が高い」と指摘された方が今すぐ取るべき予防策、そして見過ごされがちなリスクについて解説します。
1. 痛風発作の正体と古坂さんが感じた激痛のメカニズム

痛風発作は、血液中の「尿酸」が過剰になる高尿酸血症を放置することで引き起こされる病気です。
尿酸結晶が引き起こす「サソリの痛み」

尿酸は、細胞の新陳代謝や、食品に含まれるプリン体が肝臓で分解された際にできる老廃物です。血液中の尿酸値が1デシリットルあたり7.0mg以上になると高尿酸血症と診断されます。
この高尿酸血症の状態が続くと、尿酸が溶けきれずに結晶化し、関節に沈着します。この鋭利な結晶が何らかの拍子に剥がれ落ちると、体の防御機構である白血球が異物と認識して攻撃し、激しい炎症が起こります。これが痛風発作です。
古坂さんが経験された、足の親指の付け根が赤く腫れ、激痛を生じる症状は、まさにこのメカニズムによるものです。
ストレスと発作の意外な関係

古坂さんは連休中に痛みが落ち着き始めたとして、「神様という脳みそが…俺に警告したのかも」と述べています。実は、ストレスは尿酸値を上昇させる要因の一つであり、発作を起こす前の患者さんの行動を調査した研究では、ストレスから解放された休みの日に発作を起こす患者さんがいることが分かっています。普段からストレスを抱え込まない工夫も大切です。
2. 「ビール以外にも気をつけたい」痛風の原因となる食べ物と習慣

痛風の原因は、単純にビールやプリン体を多く含む食品だけではありません。血液中の尿酸値が上昇する状況、すなわち「尿酸が体内で過剰に産生される」もしくは「尿酸の排泄が悪くなる」状態を避けることが重要です。
(1) プリン体を多く含む食品 (高プリン食)
プリン体はほとんどの食品に含まれますが、特に以下の「高プリン食」(食品100gあたり200mg以上)は過剰摂取に注意が必要です。
- レバー
- 魚の干物
- 白子、あんこうの肝
- カツオ、大正エビ
- 魚卵(たらこ、いくら、うに、ししゃもなど)、納豆、鶏卵
※プリン体は水に溶けやすい性質があるため、煮物や鍋物の煮汁を飲み干さないことも対策の一つです。
(2) アルコールと果糖の罠
アルコールの摂取は、そのプリン体の含有量にかかわらず、アルコールを代謝する過程で体内の尿酸値を上げる働きがあります。痛風患者さんの生活習慣の改善には、飲酒制限が必須です。アルコールの目安は、日本酒1合、ビールは350〜500ミリリットル、ウィスキー60ミリリットルまでとされています。
さらに、ビール以外で注意が必要なのは清涼飲料水です。ジュースなどに多く含まれる果糖(フルクトース)も体内で尿酸値を上げることが分かっています。
3. 予防と対策:生活習慣の改善が基本
痛風は高尿酸血症が持続した結果、発症に至る生活習慣病であり、尿酸値を低下させる治療は、まず生活習慣の改善が基本です。
① 積極的に摂りたい食品

バランスのよい食生活が大切です。
- 水分を十分に補給する:脱水状態になると痛風発作を発症しやすくなります。尿量を増やして尿酸の排泄を促すため、水やお茶をこまめに飲みましょう。
- 野菜、乳製品、豆類:野菜類全般、乳製品、きのこ類はプリン体が極めて少ない食品であり、積極的に摂取しましょう。
- リスク低減が報告されているもの:コーヒー、チェリー、ビタミンCの摂取は、痛風発症リスクを低減すると報告されています。
② 運動療法のポイント

血液中の尿酸値を低下させるためには有酸素運動が効果的です。
- 推奨される運動:ウォーキングやサイクリング、社交ダンスなど、脈が少し速くなる程度の有酸素性運動を、合計1日30分以上、週に3回程度行いましょう。
- 注意すべき運動:短距離走や筋力トレーニングなどの無酸素運動は、尿酸値を一時的に上昇させるおそれがあるため注意が必要です。全身の状態を考慮し、運動強度は主治医と相談して決めましょう。
4. 激痛が治まっても「治った」と油断しないでください

痛風発作の痛みは1週間から10日程度で自然に軽快しますが、痛みが治まっても高尿酸血症が治ったわけではありません。
高尿酸血症が持続すると、腎結石・尿管結石を併発したり、尿酸の結晶が腎臓に溜まる痛風腎によって腎機能が低下したりします。さらに、高尿酸血症の患者さんは、肥満や脂質異常症、糖代謝障害を合併しやすく、結果として心筋梗塞や脳梗塞といった深刻な病気を引き起こす危険性が高まります。
古坂さんのような激痛は、体からの強い「警告」です。痛みが引いた今こそ、生活習慣を根本的に見直し、尿酸値の管理を始めることが、この先の健康的な人生を取り戻す鍵となります。
健康診断で尿酸値が高いと指摘された方、過去に痛風発作を経験された方は、ぜひ一度ご相談ください。
- 院長
- 斉藤 雅也
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