「お腹の不調、もしかして過敏性腸症候群？」セルフチェックと治療薬（ポリフル）の供給状況について

こんにちは。

神戸市西区のさいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。

「通勤・通学中にお腹が痛くなったらどうしよう」

「便秘と下痢を繰り返して、毎日お腹の調子が気になる」

そんな不安を抱えながら生活していませんか？

検査をしても異常が見つからないのに、慢性的にお腹の不調が続く場合、それは「過敏性腸症候群（IBS）」かもしれません。

今回は、IBSのセルフチェックと、現在ニュースなどでも話題になっている治療薬「ポリフル」の供給状況についてお伝えいたします。

1.過敏性腸症候群（IBS）とは？

過敏性腸症候群（IBS）は、腸にポリープや炎症などの目に見える異常がないにもかかわらず、腹痛や便通異常（下痢・便秘）が続く病気です。

脳と腸は自律神経でつながっているため（脳腸相関）、ストレスや緊張を感じると腸が過敏に反応してしまうことが大きな原因と考えられています。

2.セルフチェック～こんな症状はありませんか？～

「ただのお腹の不調」か「IBS」か、判断に迷うことがあるかもしれません。以下のチェックリストを確認してみてください。

【IBSセルフチェックリスト】

これらに多く当てはまる場合、過敏性腸症候群の可能性があります。

※このリストはあくまで目安です。血便が出る、体重が急激に減る、週に1～2回しか便が出ないといった症状がある場合は、別の重篤な病気の可能性があるため、早急に医療機関を受診してください。

3. IBSの治療と「食事療法」

IBSの治療は、薬だけでなく生活習慣の改善が重要です。特に食事においては、腸内で発酵しやすい糖質（FODMAP）を多く含む食品を控える「低FODMAP食」が有効な場合があります。

• 控えたほうがよいもの（高FODMAP）： 小麦（パン・パスタ）、玉ねぎ、豆類、牛乳、ヨーグルトなど
• おすすめの食材（低FODMAP）： 米、肉、魚、人参、ジャガイモなど

また、腸内環境を整えるために「ビオフェルミン」などのプロバイオティクス（整腸剤）を使用することも、ガスや膨満感の軽減に役立ちます。

4.【重要】治療薬「ポリフル」の出荷停止について

過敏性腸症候群の治療において、長年多くの患者様に処方されてきたお薬に「ポリフル（一般名：ポリカルボフィルカルシウム）」があります。

このお薬は「高分子重合体」と呼ばれ、以下のような働きをします。

• 下痢のとき： 余分な水分を吸収して便を固める
• 便秘のとき： 水分を保ち、便を柔らかくして出しやすくする

下痢型・便秘型・混合型のすべてに使える非常に便利なお薬ですが、現在、製薬会社の製造工程上のトラブルや需要増大の影響により、「ポリフル」が出荷停止の状態となっています。（2025年12月27日現在）

「薬がないと困る」という患者様へ

いつも飲んでいた薬が手に入りにくくなり、不安を感じている方も多いと思います。しかし、IBSの治療薬はポリフルだけではありません。

当院では、患者様の症状（下痢メインか、便秘メインか、ガスが辛いかなど）に合わせて、以下のような代替案を検討し、適切な処方を行っています。

1. 整腸剤（プロバイオティクス）： ビオフェルミンなど、腸内フローラを整える基本薬。
2. 消化管機能調節薬： 腸の動きを正常に整えるお薬。
3. 漢方薬： ストレスやお腹の冷え、ガスの状態に合わせた漢方薬。
4. その他のIBS治療薬： 下痢型には「セロトニン受容体拮抗薬」、便秘型には「粘膜上皮機能変容薬」など、別の作用機序を持つ新しいお薬もあります。

「ポリフルがないと治らない」と悲観せず、代わりの治療法を一緒に探していきましょう。

まとめ：お腹の悩みは一人で抱え込まずにご相談ください

過敏性腸症候群は、命に関わる病気ではありませんが、生活の質を大きく下げる辛い病気です。

「たかが腹痛」と我慢せず、チェックリストで気になる症状がある方、今のお薬が入手できずお困りの方は、是非、神戸市西区のさいとう内科クリニックへご相談ください。

当院では、患者様の便通異常といった様々な症状に応じて個別性の高い治療を行っております。必要であれば、明石市のJR大久保駅北口出てすぐのところにある、たなか内科クリニックにて大腸カメラ検査も行っています。あなたに合った治療法を見つけて、快適な毎日を取り戻しましょう。