• 3月 16, 2026

春は要注意?ストレスで悪化する過敏性腸症候群(IBS)に効く薬と対策

ブログをご覧いただきありがとうございます。

神戸市西区のさいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。

進学、就職、異動、引っ越し……。春は新しい環境での生活がスタートする希望に満ちた季節である一方、心身に大きなプレッシャーがかかる季節でもあります。

「毎朝、通勤・通学電車に乗るとお腹が痛くなる」

「大事な会議や静かな教室で、お腹が鳴ったりガスが出そうになったりして冷や汗が出る」

こうした症状でお悩みではありませんか?それは決して「甘え」や「気のせい」ではなく、「過敏性腸症候群(IBS)」という消化器の病気かもしれません。今回は、ストレスで悪化しやすいIBSの原因と、効果的なお薬、そして今日からできる対策についてお伝えいたします。


過敏性腸症候群(IBS)とは?脳と腸の深い関係

過敏性腸症候群(IBS)とは、大腸カメラなどの検査をしてもポリープや炎症といった「目に見える異常」がないにもかかわらず、慢性的な腹痛や便通異常(下痢・便秘)、お腹の張りが続く病気です。日本人成人の約10〜20%が抱えていると言われるほど、非常に身近な疾患です。

なぜ、春の環境変化やストレスでお腹が痛くなるのでしょうか?

それは、「脳腸相関(のうちょうそうかん)」と呼ばれる、脳と腸の密接なネットワークが関係しています。脳が「失敗できない」「新しい環境に馴染まなきゃ」とプレッシャーを感じると、自律神経を通じてその信号がダイレクトに腸に伝わります。その結果、腸が過敏に反応して痙攣を起こし、急激な腹痛や下痢、便秘を引き起こしてしまうのです。

あなたはどのタイプ?IBSの4つの分類

IBSの症状は人によって異なり、主に以下の4つのタイプに分けられます。

タイプ主な症状と特徴
下痢型突然の激しい腹痛とともに、水のような便が1日に何度も出ます。緊張するとトイレに駆け込むことが多く、男性にやや多い傾向があります。
便秘型腸の動きが鈍くなり、ウサギの糞のようなコロコロとした硬い便になります。お腹の張りを伴いやすく、女性に多い傾向があります。
混合型下痢と便秘を数日おきに交互に繰り返します。便通のパターンが一定せず、お腹の状態が非常に不安定になります。
ガス型おならが頻繁に出る、またはお腹がパンパンに張る(腹部膨満感)症状が中心です。静かな環境で症状が悪化しやすく、精神的負担が大きいタイプです。

IBSの症状を和らげる効果的なお薬

IBSの治療には、症状のタイプに合わせたお薬の服用が効果的です。「いざとなったら飲める薬がある」という安心感(お守り効果)が、脳の緊張を解きほぐすことにも繋がります。

  • 整腸剤(プロバイオティクス): ビオフェルミンやミヤBMなど。すべてのタイプのベースとして、腸内細菌のバランスを整えます。
  • 腸管運動調整薬: 腸の異常な動きを正常に整えます。トリメブチンなどが処方されます。
  • 下痢型向けのお薬: イリボー(セロトニン受容体拮抗薬)などが、腸の過剰な働きを抑えて下痢を防ぎます。頓服としてロペミン(下痢止め)を使うこともあります。
  • 便秘型向けのお薬: リンゼスやアミティーザといったお薬が、腸液の分泌を促して便を柔らかくし、自然な排便を助けます。
  • 痛みや痙攣を抑えるお薬: ブスコパンなどの抗コリン薬が、急な腹痛や腸の痙攣を鎮めます。
  • 漢方薬・抗不安薬: 「しぶり腹」に効く桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)などの漢方や、脳と腸の過敏性を和らげる抗不安薬が有効なケースも多々あります。

【重要なお知らせ】治療薬「ポリフル」の出荷停止について

IBS治療で長年使われてきた「ポリフル(コロネル)」というお薬が、現在製薬会社の都合により出荷停止となっています。しかしご安心ください。上記のように、症状に合わせた代替薬(整腸剤、イリボー、リンゼス、漢方薬など)は豊富に存在します。薬が手に入らず不安な方は、一人で悩まずに消化器内科へご相談ください。当院は、消化器病専門医として患者さまのお腹の悩みに柔軟に対応しています。


「良かれと思った腸活」が逆効果?食事と生活の対策

薬だけでなく、日々の生活習慣を見直すことも非常に重要です。特に食事においては、一般的な「腸に良い」が、IBSの方には当てはまらないことがあるため注意が必要です。

1.「低FODMAP(フォドマップ)食」を意識する

「お腹の調子が悪いから、ヨーグルトと納豆を食べよう」という行動は、実はIBS(特にガス型や下痢型)を悪化させる可能性があります。小腸で吸収されにくく、大腸で発酵して大量のガスを発生させる糖質(FODMAP)を多く含む食品は、一時的に控えるのが無難です。

控えたほうがよい食品(高FODMAP)安心して食べやすい食品(低FODMAP)
小麦(パン・パスタ・うどん)、玉ねぎ、納豆、豆乳米、餅、十割そば
牛乳、ヨーグルト、アイスクリームバター、プロセスチーズ
りんご、梨、スイカ、はちみつバナナ、いちご、オレンジ

2. 空気を飲み込まない工夫(呑気症対策)

早食いや麺類をすする行動、ストレスによる噛み締めなどは、無意識に大量の空気を胃腸に送り込み、ガスの原因になります。食事はよく噛んで、ゆっくりと時間をかけてとりましょう。

3. 腸を冷やさず、しっかり休む

冷たい飲み物は腸を刺激して痙攣を誘発します。できるだけ温かい飲み物を選びましょう。また、睡眠不足は自律神経の大敵です。夜更かしを避け、脳をしっかりと休めることが腸の平穏に繋がります。


まとめ:一人で我慢せず、まずは消化器内科へ

過敏性腸症候群は命に関わる病気ではありませんが、生活の質(QOL)を大きく下げるつらい病気です。

一方で、注意しなければならないのは、大腸がんや潰瘍性大腸炎などの「隠れた重大な病気」を見逃さないことです。自己判断で市販薬を飲み続けるのではなく、まずは消化器内科を受診し、必要に応じて大腸カメラ検査などで「腸に器質的な異常がないこと」を確認(除外診断)することが、安心への第一歩となります。

春のプレッシャーに負けず、快適な新生活を送るために、お腹の不調が続く場合はぜひお早めに消化器病専門医へご相談ください。

医療法人社団好也会 さいとう内科クリニック
医療法人社団好也会 さいとう内科クリニック 外観
院長
斉藤 雅也
診療内容
内科・消化器科
住所
〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3(駐車場18台あり)
(旧:森岡内科医院)
電話
078-967-0019
携帯
080-7097-5109
電車
JR山陽本線「魚住駅」から車で約9分
JR山陽本線「大久保駅」から神姫バス天郷停留所(約11分)下車、徒歩5分
第二神明道路大久保インターから約1分
駐車場
駐車場18台完備!
アクセス
当院は神戸市西区と明石市の境界付近に位置しており、明石市からも徒歩圏内です。実際に、明石市方面からも多くの患者様(肝臓病・一般内科)にご来院いただいております。駐車場も完備しておりますので、お車での通院も便利です。風邪や生活習慣病など、かかりつけ医としてお気軽にご利用ください。