- 1月 30, 2020
- 1月 11, 2025
最新の喘息治療ー重症喘息患者さんに朗報です!
コロナウイルスが日本にも広がってきつつあり、不安な日々ですが、皆さんいかがでしょうか?
ここ数年で喘息の治療薬で新しいものが登場してきており、喘息でつらい思いをしておられる方には朗報です。
従来から、感染を伴わない喘鳴を有する患者さんには、抗アレルギー薬やロイコトリエン拮抗薬、気管支拡張薬、テオフィリン徐放性製剤などの内服治療、及び、症状が強ければステロイドや気管支拡張薬の吸入治療も併せて行われています。
生活環境としては、室内の加湿や空気清浄を心掛け、また、水分補給や節酒を励行して頂くよう気をつけて頂いています。
喘鳴がひどく呼吸苦がみられれば、ステロイドやテオフィリンの点滴治療でなんとか症状を抑えているといったケースもあります。
最近では、こういった内服治療を継続して行い、高容量のステロイド吸入や点滴による治療を行っているのにも関わらず、喘鳴があまり改善せず、呼吸苦のため日常生活に支障が出ている患者さんが増えてきています。
そこで、当院では、インターロイキン-5 (IL-5)といった喘息発症に関わる免疫応答を阻害する新しい注射製剤『ヌーカラ注』を採用しました。
今月から、あらゆる薬が無効だった重症喘息患者さん1名が治療開始となりました。神戸市西区では初めての症例です。
4週間に1回のペースで1本注射していくのですが、まだ1か月も経たないうちに喘鳴が軽快しつつあり、呼吸苦が改善し楽になったと喜ばれています。
注射開始する前の好酸球が900/μlと高値でした。好酸球数が高値であればあるほど、治療効果は高いというデータもあり、そのデータ通りかと思いました。
好酸球150/μl以上であれば、一般的には注射開始した重症喘息患者さんの約4割で著明な改善効果がみられるというデータがあります。
この注射薬の副作用報告は極めて少なく、強いて言えば、注射部位の発赤や腫脹が数例報告されていますが、この患者さんは大丈夫でした。アナフィラキシーショックのような重篤な副作用の報告もありません。
IL-5受容体ではなくIL-5そのものを阻害するため、中和抗体が出来にくいため、途中で効果が落ちることも少ないと報告されています。
ステロイド内服や点滴からの離脱も期待できるものと思います。
ネックとなるのは費用が高額なことくらいです。1本あたり10割負担で17万円もします。
ただ、高額療養費制度の対象にもなりますので、後日還付を受けられる制度があります。
喘息でお悩みの患者さんがおられましたら、必要に応じて最新治療も含めて親身になって対応させて頂きますので、気軽にご相談下さい。