- 9月 20, 2025
大阪でも発生!麻しん(はしか)が流行中です。ワクチン2回接種済みでも注意が必要な理由とは?

ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
さいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。
最近、ニュースで「はしか(麻しん)」の感染報告が全国で相次いでいるのを目にされている方も多いのではないでしょうか。
遠い地域の話だと思われているかもしれませんが、先日、お隣の大阪府でも20代男性の感染が確認されました。報道によると、この男性は感染の可能性がある期間に、JR関西本線や大阪メトロ御堂筋線、南海本線といった多くの方が利用する公共交通機関を使っていたとのことです。
福岡県や鹿児島県などでも同様の報告があり、感染者が立ち寄ったサービスエリアや市電などが公表されています。これは、麻しん(はしか)が決して他人事ではなく、私たちの身近な生活圏で感染が広がる可能性があることを示しています。
そこで今回は、皆様とご家族の健康を守るために、麻しん(はしか)について知っておくべきこと、そして今すぐできる対策についてお伝えします。
非常に強い感染力を持つ「麻しん(はしか)」とは?
麻しん(はしか)は、麻しんウイルスによって引き起こされる感染症です。インフルエンザの10倍とも言われるほど感染力が極めて強く、空気感染(同じ空間にいるだけで感染する)が主な経路です。
《主な症状》
- 初期(カタル期): 38度前後の発熱、咳、鼻水、目の充血といった、風邪によく似た症状が2〜4日続きます。
- 発疹期: 一度熱が下がったように見えても、再び39度以上の高熱となり、同時に全身に赤い発疹が広がります。
- 合併症: 約30%の方に合併症が見られ、特に肺炎や中耳炎が多く報告されています。稀ではありますが、脳炎を発症すると重い後遺症を残す可能性があり、先進国であっても1000人に1人が死亡する可能性がある、決して軽視できない病気です。
「ワクチンを2回接種したから大丈夫」とは限らない?

最も有効な予防策は、ワクチン接種です。しかし、先日報道された大阪の事例では、患者さんはワクチンを2回接種済みだったとされています。
「それならワクチンは意味がないの?」と思われるかもしれませんが、決してそうではありません。
ワクチンを2回接種すれば、95%以上の人が免疫を獲得できるとされています。しかし、ごく稀に免疫が十分につかない方(数%)や、時間とともに免疫が弱まってしまう方がいます。このような方がウイルスに感染することを「ブレイクスルー感染」と呼びます。
ここで重要になるのが「集団免疫」という考え方です。社会の大多数の人がワクチンを接種して免疫を持つことで、ウイルスが広がるのを防ぎ、結果として赤ちゃんや持病でワクチンを打てない方、そしてワクチンを接種しても免疫がつきにくかった方を社会全体で守ることにつながるのです。一人ひとりのワクチン接種が、自分だけでなく、周りの大切な人を守ることに直結します。
今、私たちにできること
1. ご自身の予防接種歴を「母子健康手帳」で確認しましょう
まずはご自身とご家族の接種歴を確認することが第一歩です。特に、以下に当てはまる方は免疫が不十分である可能性があります。
- 20代後半〜40代の方: ワクチンの定期接種が1回だった世代です。
- 接種歴が不明、または1回しか接種していない方
- 麻しんにかかったことがない方
2. 免疫がご不安な方は、抗体検査・ワクチン接種をご検討ください
接種歴が不明な場合や、免疫があるか心配な場合は「抗体検査」で確認することができます。抗体が不十分だった場合は、ワクチン接種(通常は風しんも予防できるMRワクチン)を推奨します。当院でもご相談いただけますので、お気軽にお声がけください。
【最重要】もし、麻しん(はしか)を疑う症状が出たら…

発熱、発疹、咳、目の充血など、「もしかして…?」と思う症状が現れた場合、以下の行動を必ずお守りください。これは、クリニック内で他の患者様への感染を防ぐための、非常に重要なお願いです。
① すぐに医療機関を受診せず、まずは当院へお電話ください。 ② 電話で、麻しん(はしか)の疑いがあることをお伝えください。 ③ 受診の時間や方法など、職員の指示に従ってください。 ④ 医療機関へ移動する際は、公共交通機関の利用を避けてください。 |
全国の事例でも、保健所や医療機関から「受診前にまず電話連絡を」という呼びかけが繰り返し行われています。皆様のご協力をお願いいたします。
麻しん(はしか)は、一人ひとりが正しい知識を持ち、行動することで予防できる感染症です。この機会にご家族で接種歴を確認し、ご不明な点があれば、いつでも当院にご相談ください。