- 4月 7, 2026
- 4月 8, 2026
【消化器病専門医が解説】お腹の「張り」と「ガス」の正体。過敏性腸症候群(IBS)かもしれない5つの特徴

こんにちは。
神戸市西区のさいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。
「会議中など静かな場面になると、お腹が鳴らないか不安で冷や汗が出る」
「午後になると、お腹がパンパンに張ってスカートやベルトがきつくなる」
「便秘ではないのに、おならが頻繁に出る、またはニオイが気になる」
誰にも言えず、一人で「お腹のガス」や「張り」に悩んでいませんか?「たかがおなら」「自分の体質だから」と我慢してしまいがちですが、日常生活や仕事に支障が出るほど苦しい場合、それは単なる体質ではなく「過敏性腸症候群(IBS)のガス型」という消化器の病気かもしれません。
今回は、検査でも異常が見つからないのに苦しい「IBSガス型」の正体と、その特徴、そして良かれと思ってやっていた「腸活」が実は逆効果かもしれない理由について、消化器病専門医の視点からお伝えします。
■ 検査で異常がないのに苦しい「IBSガス型」とは?
過敏性腸症候群(IBS)というと、急な腹痛を伴う「下痢型」や、頑固な「便秘型」を想像される方が多いかもしれません。しかし、ガスによる腹部の膨満感(張り)を主症状とする「ガス型」も存在し、精神的な負担が非常に大きいのが特徴です。
大腸カメラなどで検査をしても「ポリープも炎症もなく、きれいですね」と言われてしまうのがIBSです。これは、腸の形(器質)に異常があるのではなく、「腸の働き(機能)や感覚」に異常が起きているためです。
【チェック】過敏性腸症候群(ガス型)かもしれない5つの特徴

以下の項目に当てはまるものが多いほど、IBSガス型の可能性が高くなります。
| □お腹がパンパンに張って苦しい(腹部膨満感):食後や夕方になるにつれて、風船のようにお腹が膨れる感覚がある。 □おならやゲップが頻繁に出る:我慢できないほど頻繁に出る、または「無意識に漏れているのでは」という強い不安がある。 □お腹が大きく鳴る(腹鳴):お腹の中でガスが動き、グルグル、キュルキュルと大きな音が鳴りやすい。 □出すと楽になる:排便やガスが出ると、一時的にお腹の張りや痛みがフッと和らぐ。 □緊張すると悪化する:電車の中、会議、試験など「トイレに行けない・音を出せない」状況でストレスを感じると、途端にお腹の調子が悪くなる。 |
■ なぜガスが異常発生するの?3つの本当の原因

では、なぜあなたの腸には大量のガスが溜まってしまうのでしょうか。原因は単なる「食べすぎ」ではありません。
1.脳と腸のパニック(知覚過敏とセロトニン)

腸は「第二の脳」と呼ばれるほど、脳と密接につながっています(脳腸相関)。
ストレスや緊張を感じると、脳から信号が送られ、腸内で「セロトニン」という神経伝達物質が過剰に分泌されます。これにより腸の動きが乱れ、ガスが一部に滞留してしまいます。さらに、IBSの方は腸が「知覚過敏」の状態になっているため、健康な人なら気にならない少量のガスでも「痛い!苦しい!」と脳が敏感に感じ取ってしまうのです。
2. 無意識に空気を飲んでいる「呑気症(どんきしょう)」

腸内のガスの多くは、実は口から飲み込んだ「空気」です。
ストレスを感じて歯を食いしばる、緊張して生唾をごくりと飲む、早食いをする、麺類をすする、口呼吸になっている……。こうした日常のクセによって、無意識のうちに大量の空気を胃や腸に送り込んでしまっているケースが非常に多く見られます。
3.「良かれと思った腸活」の罠(高FODMAP食)

これが最も盲点になりやすい原因です。「お腹の調子が悪いから、毎日ヨーグルトと納豆を食べて、食物繊維たっぷりのサラダを食べています!」という方。もしあなたがIBSガス型なら、その腸活がガスを大量発生させている可能性があります。
小腸で吸収されにくい特定の糖質(FODMAP:フォドマップ)は、大腸に届くと腸内細菌によって急速に発酵し、爆発的にガスを発生させます。
健康な人には「良い発酵」でも、腸が知覚過敏になっているIBSの方にとっては、苦しいガスの原因(小腸内細菌増殖症:SIBOの要因)になってしまうのです。
注意したい「高FODMAP食品」(ガスが増えやすい)
| ・小麦製品(パン、パスタ、うどん) ・乳製品(牛乳、ヨーグルト) ・豆類(納豆、豆乳) ・野菜 ・果物(玉ねぎ、ニンニク、リンゴなど) |
■ 今日からできる!ガスの悩み対策法

薬に頼る前に、まずはご自身でできる生活習慣のコントロールから始めてみましょう。
① 食事の「引き算」と「ゆっくり食べ」
まずは2〜3週間、パンやヨーグルトなどの「高FODMAP食品」を控え、お米・魚・肉を中心とした和食に変えてみてください。これだけでお腹の張りが劇的に減る方もいらっしゃいます。また、空気を飲み込まないよう、よく噛んでゆっくり食べることも重要です。
② 家では絶対に「我慢しない」
ガスは我慢すると腸内に留まり、やがて血液に吸収されて口臭や体臭の原因になることもあります。ご自宅やトイレでは、我慢せずにしっかりガスを抜きましょう。
ガス抜きのポーズ:仰向けになり、両膝を胸に引き寄せて抱え込むポーズが物理的なガス抜きに有効です。
③ 「出てもいいや」という心の余裕(リラックス)
「おならが出たらどうしよう」という不安そのものが、腸を緊張させガスを生み出します。趣味の時間を持ち、リラックスする時間を意図的に作ることも立派な治療です。
■ 病院での治療と、お薬に関するお知らせ

生活習慣を見直しても改善しない場合は、一人で抱え込まずに消化器内科へご相談ください。
医療機関では、まずは大腸がんや炎症性腸疾患などの重篤な病気が隠れていないかを大腸カメラ検査等でしっかり確認します。異常がなければ、国際的な診断基準(Rome IV基準)に照らし合わせてIBSの診断を行い、治療を進めます。
【お薬による治療について】
IBSの治療には、腸の働きを整えるお薬を処方します。
※現在、IBS治療でよく使われる「ポリフル」というお薬が、製薬会社の事情により全国的に出荷停止となっております。また、腸の運動を整えるお薬(トリメブチン)も出荷調整となっております。当院では、その他の腸の運動を整えるお薬や、ガスの泡を消す駆除薬、整腸剤、お腹を温めて張りをとる漢方薬(大建中湯など)を用いて、患者様の症状に合わせた代替治療を全力でサポートしております。
■まとめ:あなたは一人じゃありません

「おならが止まらない、お腹が鳴る」という悩みは、恥ずかしくて人には相談しづらいものです。しかし、日本人の10〜20%がこの過敏性腸症候群を抱えていると言われており、決して珍しい病気ではありません。
パンパンに張ったお腹の苦しみや、会議中の冷や汗から解放され、心から食事や外出を楽しめるよう、私たちがお手伝いいたします。焦らず、ご自身のペースで腸との上手な付き合い方を見つけていきましょう。少しでも気になる症状があれば、お気軽に当院までご相談ください。
- 院長
- 斉藤 雅也
- 診療内容
- 内科・消化器科
- 住所
- 〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3(駐車場18台あり)
(旧:森岡内科医院) - 電話
- 078-967-0019
- 携帯
- 080-7097-5109
- 電車
- JR山陽本線「魚住駅」から車で約9分
JR山陽本線「大久保駅」から神姫バス天郷停留所(約11分)下車、徒歩5分 - 車
- 第二神明道路大久保インターから約1分
- 駐車場
- 駐車場18台完備!
- アクセス
- 当院は神戸市西区と明石市の境界付近に位置しており、明石市からも徒歩圏内です。実際に、明石市方面からも多くの患者様(肝臓病・一般内科)にご来院いただいております。駐車場も完備しておりますので、お車での通院も便利です。風邪や生活習慣病など、かかりつけ医としてお気軽にご利用ください。
