- 5月 22, 2026
便秘と腸内フローラ——腸の環境を整えることが便通改善の近道

こんにちは。
神戸市西区のさいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。
「毎日お通じがないと不安」
「お腹が張って仕事に集中できない」
便秘は成人の約3〜4割が経験すると言われるほど身近な悩みですが、その裏には「腸内フローラ」という広大な細菌の勢力図が深く関わっています。
今回は、単に便を出すだけではない、腸内環境から見直す根本的な便通改善について、消化器病専門医の視点でお伝えします。
■ 腸内フローラとは「お腹の中の通知表」

私たちの腸内(特に大腸)には、約100兆個、重さにして1〜2kgもの細菌が住み着いています。これが顕微鏡で見るとお花畑(フローラ)のように見えることから「腸内フローラ」と呼ばれます。
理想的なバランスは、善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7。

便秘の方の腸内では、このバランスが崩れて悪玉菌が優勢になっています。悪玉菌が作り出すガスや有害物質は、腸の動き(ぜん動運動)を鈍らせ、便をさらに滞留させます。滞留した便からは水分がどんどん吸収されて硬くなり、さらに出にくくなる……という「負のスパイラル」に陥ってしまうのです。
■ 鍵を握るのは「短鎖脂肪酸」と「善玉菌のエサ」
最近の研究で、便通改善に最も重要だとわかってきたのが、善玉菌がエサを食べて作り出す「短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん)」です。
この物質には、腸の粘膜を刺激して動かす「天然のスイッチ」のような役割や、腸内を弱酸性に保って悪玉菌を抑える働きがあります。つまり、菌を摂る(プロバイオティクス)だけでなく、今いる菌に「エサ(プレバイオティクス)」を届けることが、自力で出す力を取り戻す近道なのです。
腸内フローラを喜ばせる「3つの食習慣」

- 水溶性食物繊維を意識する: ごぼうなどの「不溶性」だけでなく、海藻、ネバネバ食品(オクラ、納豆)、果物に含まれる「水溶性」を積極的に摂りましょう。これが善玉菌の最高のエサになります。
- 発酵食品で「多様性」を出す: ヨーグルト、納豆、味噌など、複数の発酵食品を組み合わせることで、腸内細菌のバリエーション(多様性)が豊かになります。
- オリゴ糖で善玉菌を育てる: バナナやはちみつ、玉ねぎなどに含まれるオリゴ糖は、ビフィズス菌をピンポイントで増やす助けになります。
■ 生活習慣で「出す力」をサポートする

食事以外にも、自律神経を整えて腸を動かす工夫が必要です。
- 朝一杯の水と朝食: 胃に物が入ることで「胃結腸反射」が起き、腸が大きく動き出します。
- 「の」の字マッサージと運動: 1日20〜30分のウォーキングや、仰向けでの腹部マッサージは、物理的に腸を刺激し、停滞した便を送り出す助けになります。
- トイレの姿勢: 洋式トイレでは、少し前かがみになり、足元に踏み台を置いて「考える人」のようなポーズをとると、直腸がまっすぐになり排便がスムーズになります。
■ 消化器病専門医による受診が必要なサイン

便秘の影に、重大な原因が隠れていることもあります。特に以下のような場合は、自己判断せずご相談ください。
- 血便や粘液便が混じる
- 急な体重減少や食欲不振がある
- 強い腹痛や、吐き気を伴う便秘
当院では、これまでの服薬歴やライフスタイルを詳しく伺う専門的な問診に加え、放射線被ばくの心配がない「腹部エコー検査」を用いて、腸のむくみや便の詰まり具合を客観的に評価します。
また、胃の不快感や食欲不振を伴う場合には、苦痛の少ない「胃カメラ検査(内視鏡検査)」を行い、上部消化管に問題がないかを慎重に確認いたします。
■ よくあるご質問

Q:毎日便が出なければ便秘ですか?
A: 必ずしもそうではありません。排便回数には個人差があり、週3回以上あり、スッキリ感があれば正常範囲です。回数よりも「お腹の張り」や「残便感」など、ご本人が苦痛を感じているかどうかが重要です。
Q:ヨーグルトを食べているのに改善しません。なぜですか?
A: 菌との相性もありますが、多くの場合「エサ(食物繊維)」や「水分」が不足しています。また、腸の動きそのものが低下している場合は、菌を摂るだけでは不十分なこともあります。
Q:市販の便秘薬をずっと飲み続けても大丈夫でしょうか?
A: 市販されている便秘薬の中には、腸を直接刺激して動かすタイプが多くあります。たまに使う分には効果的ですが、長期間毎日飲み続けると、腸がその刺激に慣れてしまい、薬がないと自力で動かなくなる「習慣性(依存)」が生じることがあります。 当院では、お薬の量を適切にコントロールしながら、腸本来の自然なリズムを取り戻すための食事指導や、体に優しい成分への移行をサポートしています。
■ まとめ:あなたに合った「お腹の整え方」を

便秘は決して「体質だから」と諦める必要はありません。
現在、一部の便秘薬が出荷調整により手に入りにくい状況が続いていますが、当院では医学的根拠に基づいた食事指導やお薬の調整、そして5月からは「新しいセルフケア・アプローチ(オリジナルサプリメント)」の提案を通じて、皆様の健やかな毎日をサポートいたします。
「市販薬が手放せない」「根本から変えたい」という方は、ぜひ一度診察室でお話を聞かせてください。
- 院長
- 斉藤 雅也
- 診療内容
- 内科・消化器科
- 住所
- 〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3(駐車場18台あり)
(旧:森岡内科医院) - 電話
- 078-967-0019
- 携帯
- 080-7097-5109
- 電車
- JR山陽本線「魚住駅」から車で約9分
JR山陽本線「大久保駅」から神姫バス天郷停留所(約11分)下車、徒歩5分 - 車
- 第二神明道路大久保インターから約1分
- 駐車場
- 駐車場18台完備!
- アクセス
- 当院は神戸市西区と明石市の境界付近に位置しており、明石市からも徒歩圏内です。実際に、明石市方面からも多くの患者様(肝臓病・一般内科)にご来院いただいております。駐車場も完備しておりますので、お車での通院も便利です。風邪や生活習慣病など、かかりつけ医としてお気軽にご利用ください。
