• 10月 1, 2026

脂肪肝は太っている人だけの病気じゃない やせ型、お酒を飲まない人に増える理由と改善法を消化器病専門医が解説

こんにちは。

神戸市西区のさいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。

脂肪肝は太っている人がなるもの、お酒を飲まないから自分には関係ない、そう思っていませんか。 実は近年、やせ型の方、お酒を全く飲まない方にも脂肪肝が増えており、医療機関で見過ごされているケースが少なくありません。今回は代謝機能の異常に関連する脂肪肝(MASLD/MASH)のメカニズムと改善法を解説します。

■1. 脂肪肝とは どのような状態か

脂肪肝とは、肝臓の細胞に中性脂肪が過剰に蓄積した状態をいいます。肝臓全体の5パーセント以上が脂肪に置き換わっている状態を脂肪肝と診断します。初期は自覚症状がほとんどなく、健康診断の血液検査(AST、ALT、γ-GTP高値)や腹部エコー検査で偶然発見されることが多い疾患です。

■2. お酒を飲まない人の脂肪肝 —— 新しい概念「MASLD」とは

かつては非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と呼ばれていましたが、近年の国際的な合意により、代謝機能の異常を背景とするMASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)という新しい名称と概念にアップデートされています。

日本では成人の約20~30%(2000万から3000万人)が該当すると推定されており、現代の国民病とも言われています。 MASLDの中でも、肝臓の炎症や線維化が進行したものはMASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)と呼ばれ、放置すると肝硬変、肝がんに進展するリスクがあります。肝がんの約15~20%はMASHが原因とされています。

■3. やせ型の人にも脂肪肝が起きる理由

脂肪肝の原因は肥満だけではありません。以下の要因でやせ型の方にも脂肪肝が起きます。

  • 内臓脂肪の蓄積(隠れ肥満): 体重は標準でも、内臓脂肪が多い内臓脂肪型肥満の場合は脂肪肝になりやすいです。
  • 糖質、果糖の過多: スイーツ、清涼飲料水、果物を大量に摂ると、果糖が肝臓での脂肪合成を促進します。特に液状果糖(フルクトース)は脂肪肝のリスクが高いです。
  • 急速な体重減少、極端なダイエット: 短期間で体重を落とすと、筋肉が分解されることにより筋肉量が減少して脂質代謝が低下し、肝臓に脂肪が蓄積しやすくなります。
  • 筋肉量の少なさ(サルコペニア): 筋肉量が少ないと脂質代謝が低下し、肝臓に脂肪が蓄積しやすくなります。

■4. 脂肪肝の改善法:生活習慣の見直しが基本

脂肪肝を改善する有効な薬はまだ確立されていないため、生活習慣の改善が治療の柱です。

  • 体重を7~10%減らす: 体重の7~10%を減量すると、肝臓の炎症と線維化が有意に改善することが示されています。
  • 糖質、脂質を適正化: 白米、パン、麺、清涼飲料水、菓子類を適量に抑え、緑色の野菜、魚、肉、豆類、海藻類を中心としたバランスの良い食事を続けましょう。
  • 有酸素運動と筋力トレーニング: 週90分以上の中強度運動(早歩き、水泳等)が肝臓への脂肪蓄積を減らす効果が確認されています。
  • 定期的な腹部エコー検査: 脂肪肝の進行を早期発見するために、定期的な腹部エコー検査を受けることが推奨されています。

■5. よくあるご質問

Q. 脂肪肝は自覚症状がないので放置していいですか。

A. 絶対に放置してはいけません。MASH(脂肪肝炎)に進展すると肝硬変、肝がんのリスクが高まります。血液検査で肝機能異常を指摘されたら必ず精査してください。

Q. 脂肪肝の診断に腹部エコー検査は有効ですか。

A. はい、非常に有効です。腹部エコー検査は痛みなく肝臓の脂肪蓄積度合いを確認できる優れた検査で、脂肪肝の診断に広く使われています。

Q. お酒を少し飲む程度でも脂肪肝になりますか。

A. 飲酒量と脂肪肝には相関がありますが、少量の飲酒に肥満や糖質過多が重なることでMASLDを発症・悪化させることがあります。アルコールと糖質を一緒に過剰摂取することが特にリスクを高めます。

■まとめ

脂肪肝(MASLD)は、体型や飲酒習慣だけでは判断できず、やせ型の方やお酒を飲まない方にも起こりうる身近な病気です。初期には自覚症状がほとんどありませんが、肝臓の炎症や線維化が進むと、肝硬変や肝がんにつながる可能性があります。健康診断でAST、ALT、γ-GTPなどの異常を指摘された場合は、症状がなくても放置せず、血液検査や腹部エコー検査で肝障害の原因と進行度を確認することが大切です。

検査値が基準範囲内でも、糖尿病、脂質異常症、高血圧、内臓脂肪の蓄積などがある方は注意が必要です。改善の基本は、清涼飲料水や菓子類など糖質の多い食品を見直し、緑色の野菜、魚、肉、豆類、海藻類を取り入れたバランスのよい食事を続けることです。食事を極端に制限するのではなく、主食や間食の量、飲み物の糖分、夜遅い食事など、続けやすい項目から調整しましょう。

肥満がある場合は急激な減量を避け、無理のない範囲で体重の7~10%減を目標にします。やせ型の方も、筋肉量の低下や内臓脂肪が影響するため、有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせ、週90分以上を目安に継続することが重要です。

生活習慣の改善は、短期間で結果を求めるよりも、数か月単位で無理なく続けることが重要です。体重、腹囲、食事内容、運動量を簡単に記録すると、改善点を把握しやすくなります。取り組みを続けても検査値が改善しない場合や、糖尿病、脂質異常症、高血圧などを合併している場合は、より丁寧な評価が必要です。

定期的な血液検査と腹部エコー検査で変化を確認し、医師と相談しながら計画を調整しましょう。「お酒を飲まないから大丈夫」「やせているから大丈夫」と自己判断せず、早めに状態を把握して継続的に管理することが、将来の肝硬変や肝がんのリスクを抑え、肝臓を守る第一歩です。さいとう内科クリニックでは、専門医による詳細な血液検査や腹部エコー検査、超音波エラストグラフィー検査を行っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

医療法人社団好也会 さいとう内科クリニック
医療法人社団好也会 さいとう内科クリニック 外観
院長
斉藤 雅也
診療内容
内科・消化器内科
住所
〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3(駐車場18台あり)
(旧:森岡内科医院)
電話
078-967-0019
携帯
080-7097-5109
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JR山陽本線「大久保駅」から神姫バス天郷停留所(約11分)下車、徒歩5分
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当院は神戸市西区と明石市の境界付近に位置しており、明石市からも徒歩圏内です。実際に、明石市方面からも多くの患者様(肝臓病・一般内科)にご来院いただいております。駐車場も完備しておりますので、お車での通院も便利です。風邪や生活習慣病など、かかりつけ医としてお気軽にご利用ください。