- 9月 29, 2026
高齢者の便秘はなぜ増える~薬の副作用、水分不足、運動不足が腸に与えるダメージと解消法を消化器病専門医が解説

こんにちは。
神戸市西区のさいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。
60代になったら便秘がひどくなった、毎日出ていたのに週に2~3回になった、こうした変化は高齢者に非常によく見られます。
加齢による腸の機能低下に加え、内服薬の副作用、水分摂取量の減少、運動量の低下など、複数の要因が重なって便秘が起きやすくなります。今回は、高齢者の便秘のメカニズムと具体的な対処法をお伝えします。
■1. なぜ高齢になると便秘になりやすいのか

- 腸の蠕動運動の低下:腸を動かす筋肉と神経の機能は加齢とともに低下します。若い頃と比べて腸が食べ物を先へ運ぶ力が弱まり、便の滞留時間が長くなります。
- 水分摂取量の減少:高齢者は口渇感を感じにくくなり、意識しないと水分が不足しがちです。便の水分が失われると硬くなり、排便が困難になります。
- 排便に使う筋力(腹筋、骨盤底筋)の低下:排便は腹筋、横隔膜、骨盤底筋を協調させる動作です。これらの筋力低下がいきめない、出し切れないにつながります。
- 運動不足:身体活動量の低下は腸の蠕動運動をさらに抑制します。寝たきりや外出機会の少ない方は特に影響を受けます。
■2. 薬の副作用で起こる薬剤性便秘に注意

高齢者が服用していることの多い以下の薬には便秘を引き起こす副作用があります。カルシウム拮抗薬(降圧薬)、鉄剤(貧血治療)、アルミニウム含有制酸薬(胃薬)、抗コリン薬(過活動膀胱、パーキンソン病治療薬)、オピオイド系鎮痛薬(モルヒネ等)。
複数の薬を飲んでいる高齢者はポリファーマシー(多剤服用)の問題もあり、薬の副作用として便秘が生じているケースが少なくありません。かかりつけ医に相談し、必要に応じて処方を見直すことが重要です。
■3. 高齢者の便秘を解消する生活習慣

- 水分:1日1.5~2リットルを目安に飲みましょう。朝起きたら水またはぬるま湯を1杯飲む習慣が効果的です。
- 食事:食物繊維(野菜、海藻、豆類)と発酵食品(ヨーグルト、みそ)を積極的に取り入れましょう。ただし過剰な食物繊維は逆に便秘を悪化させることもあります。
- 運動:ウォーキング、ストレッチ、腹筋運動(軽いもの)を習慣化しましょう。体を動かすことで腸の蠕動運動が促進されます。
- 排便習慣:朝食を食べてから15~20分後はもっとも腸が活発に動く時間帯(胃結腸反射)です。このタイミングにトイレに座る習慣をつけることが大切です。
■4. 高齢者の便秘薬の選び方

市販の便秘薬には刺激性下剤(センナ、ビサコジル)と浸透圧性下剤(酸化マグネシウム)があります。高齢者には習慣性のない浸透圧性下剤が推奨されています。刺激性下剤の長期使用は大腸メラノーシス(大腸の黒変)を引き起こし、腸の機能をさらに低下させることがあります。
■5. よくあるご質問

Q. 便秘のために漢方薬は有効ですか。
A. 大黄を含む漢方薬(大黄甘草湯、麻子仁丸等)は便秘に有効です。刺激性下剤と同様の作用があるため、長期使用は医師に相談してください。
Q. 何日出なかったら受診すべきですか。
A. 5日以上排便がなく、腹痛、嘔吐、腹部膨満感を伴う場合は急いで受診してください。腸閉塞の可能性があります。通常の便秘は1週間程度経過観察しながら対処しても構いませんが、長期化する場合は受診してください。
Q. 高齢者の便秘に酸化マグネシウムは安全ですか。
A. 腎機能が低下している高齢者では、マグネシウムが体内に蓄積して高マグネシウム血症を引き起こすリスクがあります。定期的な血液検査でモニタリングすることが必要です。
■まとめ

高齢者の便秘は、加齢による腸の動きや排便に関わる筋力の低下だけでなく、水分・食事量の不足、運動不足、服用中の薬など、複数の要因が重なって起こります。
まずは排便回数だけでなく、便の硬さ、強いいきみ、残便感、腹部の張りなども含めて状態を確認し、朝食、水分、食物繊維、無理のない運動、食後の排便習慣を少しずつ整えることが大切です。
心臓や腎臓の病気で水分制限がある方、飲み込みに不安がある方は、自己判断で水分量を増やさず主治医に相談してください。
市販の便秘薬を長く使い続ける場合や、薬を追加・変更してから便秘が悪化した場合は、お薬手帳を持参して消化器病専門医に相談しましょう。
特に、血便や黒い便、急に始まった便秘、強い腹痛、嘔吐、著しい腹部膨満、意図しない体重減少がある場合は、重大な病気が隠れている可能性があるため、早めの受診が必要です。
便秘を年齢のせいと決めつけず、生活習慣と薬の両面から原因を見直し、一人ひとりの体調や持病に合った安全な方法で継続的に改善していきましょう。
神戸市西区、明石市在住の方は、当院まで近いので、お気軽に当院までご相談くださいね。
- 院長
- 斉藤 雅也
- 診療内容
- 内科・消化器内科
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- 当院は神戸市西区と明石市の境界付近に位置しており、明石市からも徒歩圏内です。実際に、明石市方面からも多くの患者様(肝臓病・一般内科)にご来院いただいております。駐車場も完備しておりますので、お車での通院も便利です。風邪や生活習慣病など、かかりつけ医としてお気軽にご利用ください。
