• 7月 21, 2026

ピロリ菌を除菌した後も胃カメラが必要な理由。除菌成功後に残る胃がんリスクと、毎年受けるべき検査の正しい知識

こんにちは。
神戸市西区のさいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。

「ピロリ菌の除菌に無事成功しました。これでもう胃カメラは受けなくても大丈夫ですよね?」

外来の診察室で、患者様からこのようなご質問をいただくことがよくあります。除菌がうまくいってホッとされるお気持ちは本当によく分かりますが、実は「除菌したからもう安心」と胃カメラをやめてしまうのは、大変危険な誤解です。

除菌に成功した後も、胃がんのリスクがゼロになるわけではありません。今回は、除菌成功後も定期的な内視鏡検査が必要不可欠である医学的な理由について、消化器病専門医、及び消化器内視鏡専門医の視点から詳しく解説します。

■1. ピロリ菌と胃がんの関係をまず整理する

ヘリコバクター・ピロリ菌は、胃がんの原因の約99%を占めていると言われています。

ピロリ菌が長年にわたって胃の粘膜に棲みつき、慢性的な炎症を起こし続けると、胃の粘膜が健康な状態から徐々に薄くなる「慢性萎縮性胃炎(まんせいいしゅくせいいえん)」へと進行します。さらに進むと、胃の粘膜がまるで腸の粘膜のようになってしまう「腸上皮化生(ちょうじょうひかせい)」という状態を経て、最終的に胃がんが発生しやすい土壌が作られてしまいます。

■2. 除菌が成功したのに、なぜまだ胃がんのリスクがあるのか

ピロリ菌の除菌治療によって最も大きく減らせるのは、「これから新たに慢性胃炎が進行すること」のリスクです。

しかし、長期間の感染によってすでに生じてしまった「慢性萎縮性胃炎」や「腸上皮化生」の病変は、除菌が成功したからといって完全に元のキレイな粘膜へと戻るわけではありません。つまり、ピロリ菌という「火元」を消し止めることはできても、すでに火が移って傷んでしまった粘膜(土壌)からは、除菌後であっても数年〜十数年経ってから胃がんが発生する可能性が残るのです。

大規模な臨床研究データでも、除菌後の胃がん発生リスクは、もともと一度もピロリ菌に感染したことがない人に比べると高い状態が続くことが分かっています。特に、除菌前からすでに高度な粘膜の萎縮が見られている場合は、より厳格な胃カメラフォローが必要です。

■3. 除菌成功後に胃カメラを受けるべき正しい頻度

日本消化器がん検診学会などの推奨では、除菌に成功した後も年1回の胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)を継続することが強く勧められています。特にお腹の健康を守るために、以下の項目に当てはまる方は毎年の検査を欠かさないようにしましょう。

  • 除菌前の時点で、すでに高度な萎縮性胃炎や腸上皮化生を指摘されていた
  • 血縁の家族に胃がんや食道がんを患った人がいる
  • ピロリ菌感染に伴う胃潰瘍・十二指腸潰瘍の既往がある
  • 喫煙の習慣がある(胃がんの発症リスクを2倍以上高める要因になります)
  • 塩分の多い食生活(塩辛、漬物、干物などを好んで毎日食べる)
  • 50歳以上の年齢になってからピロリ菌を除菌した

■4. 除菌後の胃カメラ検査では何を確認しているか?

除菌後の胃の中は、ピロリ菌が活動していた頃と比べて粘膜の赤みや炎症が引くため、一見するとキレイになったように見えます。しかし、これこそが落とし穴です。炎症が治まることで、逆に初期の小さながんが粘膜の中に隠れて見えにくくなる(発見が難しくなる)という特徴があります。

そのため、当院での除菌後の胃カメラでは、主に以下のポイントを非常に細かく重点的に確認しています。

  • 萎縮性胃炎や腸上皮化生が残っている範囲と、その程度の変化
  • 見落としやすい微小な早期胃がんの発見(ステージ0〜1段階での早期発見が完治の鍵です)
  • 胃ポリープの経過観察(過形成性ポリープは、除菌後に自然と小さく消退することもあります)
  • 逆流性食道炎の有無(除菌後に胃酸の分泌が正常に戻る反動で、一時的に胃もたれや胸焼けが起きやすくなることがあります)

当院では、特殊な光を用いて粘膜の微細な血管パターンを強調する精密な内視鏡技術を活用し、従来では見つけにくかった早期の小さな異変も見逃さないよう、丁寧な観察を行っています。

■5. ピロリ菌の検査や保険適用に関する注意点

「昔、健康診断でピロリ菌がいると言われた気がするけれど、その後除菌したかどうか覚えていない」「自分が感染しているか心配」という方も多くいらっしゃいます。ピロリ菌の感染歴を調べるには、血液検査や尿素呼気試験、便中抗原検査などがあり、当院では患者様のお体の状態に合わせて適切な検査方法をご提案しています。

また、ピロリ菌の検査や除菌治療を健康保険適用で行うためには、原則として「胃カメラ検査によって慢性胃炎(萎縮性胃炎)の存在を確認していること」が必須の条件となります。胃カメラを受けずに血液検査や呼気試験だけを行う場合は全額自費診療となりますので、正確な診断のためにも、まずは胃カメラを含めた一連の検査を受けられることをお勧めします。

■6. まとめ:早期発見できれば内視鏡で完治できる病気です

ピロリ菌の除菌は胃がんを予防するための強力な第一歩ですが、決して「治療のゴール」ではありません。特に40〜50代以降の年齢で除菌をされた方は、傷んだ粘膜をケアしていくために、年1回の定期的な胃カメラ検査をライフワークとして継続していくことが何よりも大切です。

胃がんは早期の段階で発見することができれば、お腹を切ることなく、内視鏡治療(カメラの先端から器具を出して切除する方法)だけでお体に優しく確実に完治を目指せる病気です。

さいとう内科クリニックは、神戸市西区(大久保・魚住エリア)に位置し、18台分の広い無料駐車場を完備しております。明石市周辺からもお車で非常にスムーズにご来院いただけます。「除菌後の定期的な胃カメラ検査を受けたい」「鎮静剤を用いた苦痛の少ない胃カメラ検査について相談したい」という方は、どうぞ一人で悩まずに、当院までお気軽にご相談ください。

医療法人社団好也会 さいとう内科クリニック
医療法人社団好也会 さいとう内科クリニック 外観
院長
斉藤 雅也
診療内容
内科・消化器科
住所
〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3(駐車場18台あり)
(旧:森岡内科医院)
電話
078-967-0019
携帯
080-7097-5109
電車
JR山陽本線「魚住駅」から車で約9分
JR山陽本線「大久保駅」から神姫バス天郷停留所(約11分)下車、徒歩5分
第二神明道路大久保インターから約1分
駐車場
駐車場18台完備!
アクセス
当院は神戸市西区と明石市の境界付近に位置しており、明石市からも徒歩圏内です。実際に、明石市方面からも多くの患者様(肝臓病・一般内科)にご来院いただいております。駐車場も完備しておりますので、お車での通院も便利です。風邪や生活習慣病など、かかりつけ医としてお気軽にご利用ください。