- 7月 26, 2026
「急性膵炎」「慢性膵炎」はなぜ放置してはいけないのか?みぞおちの痛み・背部痛の原因と、消化器病専門医が教える食事・飲酒制限の現実

こんにちは。
神戸市西区のさいとう内科クリニック院長の斉藤雅也です。
膵臓(すい臓)は胃の裏側に位置する臓器で、食べ物を分解する強力な消化酵素の分泌と、血糖値を下げるインスリンの産生という2つの極めて重要な役割を担っています。
膵炎はその膵臓に炎症が起きる病態で、軽症から命に関わる重症まで幅広い段階があります。「みぞおちがズキズキ痛む」「背中が締め付けられるように痛い」という症状がある方は、膵炎の可能性を疑う必要があります。今回は、急性・慢性膵炎のメカニズムや、見逃してはいけない体からのSOS、そして再発を防ぐための食事・飲酒制限の現実について、消化器病専門医の視点から詳しく解説します。
■1. 急性膵炎とは:突然起こる激しい自己消化の恐怖

急性膵炎は、何らかの原因で膵臓で作られた強力な消化酵素が、まだ膵臓の内部にあるうちに異常に活性化してしまい、膵臓自身を溶かしてしまう(自己消化)という非常に恐ろしい状態です。
急性膵炎の主な原因
- アルコール(約40%): 大量飲酒や慢性的な飲酒が、国内において最も多い発症の原因です。
- 胆石(約30〜35%): 胆のうにある石(胆石)が滑り落ちて胆管に詰まり、膵液の出口(膵管)を閉塞してしまうことで発症します。
- 原因不明(特発性): 約15〜20%は、明確な理由が見当たらないまま発症します。
- その他: 血液中の中性脂肪が極端に高い「高中性脂肪血症」、特定の薬剤、自己免疫性の異常などが挙げられます。
急性膵炎の症状と早急に受診すべきタイミング

激しい上腹部痛や背部痛、激しい嘔吐が主症状であり、重症化すると多臓器不全を起こし生命に関わるリスクもあるため、以下のサインが出た場合はすぐに医療機関を受診してください。
- 突然襲ってきた、動けないほど激しいみぞおちや上腹部の痛み
- 背中や腰に突き抜けるような痛み(「帯のように締め付けられる」と表現されることが多いです)
- 何度も繰り返す激しい吐き気・嘔吐
- 体を真っ直ぐに伸ばすと痛みが強くなり、体を丸めて「前かがみ姿勢」になると少し楽になる(膵臓が胃の裏側にあるための特徴的な姿勢です)
- 38℃以上の発熱を伴う腹痛
■2. 慢性膵炎とは:静かに進行する膵臓の破壊と3つの深刻なリスク

慢性膵炎は、急性膵炎のように一気に炎症が起きるのではなく、何年もかけて繰り返しジワジワと慢性的な炎症が続く病態です。正常だった膵臓の組織が少しずつ線維化(硬化)して硬くなり、土管のように干からびていくことで、膵臓本来の機能が失われていきます。
急性期のような激しい痛みが出ないことも多いため、「なんとなくいつもみぞおちが重い」「背中がずっと凝っている」といった鈍痛の状態で長年放置されてしまうケースが珍しくありません。
慢性膵炎が非常に危険な理由
- 外分泌機能の低下(消化不良): 消化酵素が分泌されなくなるため、油がそのまま便に混じる「脂肪便(水洗トイレで油が浮くような便)」が出たり、慢性的にお腹が張って栄養失調に陥ったりします。
- 内分泌機能の低下(膵性糖尿病): インスリンを作り出す細胞(β細胞)が破壊されてしまうため、最終的に「膵性糖尿病」を発症します。この糖尿病は、一般的な糖尿病よりも血糖値のコントロールが非常に難しいという特徴があります。
- 膵がんリスクの著しい増加: 慢性的に粘膜が傷つけられ続けるため、慢性膵炎がある方の膵がん発症リスクは、健康な方に比べて約10〜20倍に跳ね上がることが医学的に証明されています。また、膵管内に石ができる「膵石症」を合併し、これが慢性的な激痛の原因になることもあります。
■3. 膵炎の食事・飲酒制限:専門医として分かりやすくお伝えします
膵炎を一度でも発症した方、あるいはその傾向を指摘された方にとって、食事と飲酒のコントロールは「気をつけた方が良い」というレベルではなく、命を守るための「必須の治療そのもの」です。
アルコールについて

急性膵炎の既往がある方や慢性膵炎と診断された方は、原則として「生涯にわたる完全な禁酒」が必要です。
「ビール1杯なら大丈夫」「度数の低いお酒なら安心」ということは膵炎において一切通用しません。アルコール自体が膵臓に対して直接的な毒性を持っているため、ほんの少しの飲酒であっても、再び膵臓の自己消化を誘発し、最悪の事態を招く引き金になります。
食事の脂質制限について

急性膵炎のピーク時は、膵臓を完全に休ませるために「絶食・点滴治療」を行う入院加療が必要不可欠です。
症状が落ち着き、回復期以降の日常生活に戻ってからは、脂質の摂取量を1日40〜60g以下に抑える「低脂肪食」が基本となります。唐揚げや天ぷらなどの揚げ物、バター、生クリーム、霜降り肉、ラーメンといった高脂肪の食事は、膵臓に猛烈な解毒・消化の負担をかけるため厳禁です。一方で、白米などの炭水化物や、大豆・白身魚などの良質なタンパク質は通常量をしっかりと摂取して問題ありません。
■4. まとめ:お腹の不調や背中の痛みを「体質」と諦めないでください

「膵炎は痛みが治まったから治療は終わり」ではありません。急性膵炎を何度も細かく繰り返すことで、気付かないうちに慢性膵炎へと移行し、最終的に重度な糖尿病や膵がんといった取り返しのつかない大病へ繋がってしまうリスクが潜んでいます。
日頃からみぞおちの鈍痛や不快感、背部痛、食後の異常なお腹の張りが続いている方は、自己判断でお薬を飲み続けたり放置したりせず、早めに精密な検査を受けて膵臓のリアルなコンディションを確認することが何よりも大切です。

さいとう内科クリニックでは、丁寧な問診や血液データのチェックに加え、体への負担や被ばくのリスクが一切ない、安全な「腹部エコー(超音波)検査」を用いて、胃の裏側に隠れた膵臓やその周囲の臓器をその場で詳しく観察し、適切な評価を行っています。
当院は神戸市西区(大久保・魚住エリア)に位置し、18台分の広い無料駐車場を完備しております。西区周辺はもちろん、明石市方面からもお車で非常にスムーズにご来院いただけます。「みぞおちや背中の痛みが続いていて心配」「健康診断の数値を詳しく相談したい」という方は、どうぞ一人で悩まずに、お気軽に当院へご相談ください。
- 院長
- 斉藤 雅也
- 診療内容
- 内科・消化器内科
- 住所
- 〒651-2412
兵庫県神戸市西区竜が岡1-15-3(駐車場18台あり)
(旧:森岡内科医院) - 電話
- 078-967-0019
- 携帯
- 080-7097-5109
- 電車
- JR山陽本線「魚住駅」から車で約9分
JR山陽本線「大久保駅」から神姫バス天郷停留所(約11分)下車、徒歩5分 - 車
- 第二神明道路大久保インターから約1分
- 駐車場
- 駐車場18台完備!
- アクセス
- 当院は神戸市西区と明石市の境界付近に位置しており、明石市からも徒歩圏内です。実際に、明石市方面からも多くの患者様(肝臓病・一般内科)にご来院いただいております。駐車場も完備しておりますので、お車での通院も便利です。風邪や生活習慣病など、かかりつけ医としてお気軽にご利用ください。
